当会は、養蚕農家から真綿商、小倉商店までが一体となって生産履歴のハッキリした純国産結城紬の生産販売を行うことを目的にしています。
日本の養蚕農家の保護、繭の確保、結城紬の技術保存を目指しています。蚕種は結城紬に適した朝・日×東・海を用います。
繭の生産 養蚕農家3戸(福島県伊達市)
引地 竹見 菅野 正巳 原田 紀市
繭生産指導 伊達みらい農業協同組合
蚕種製造 冨田蚕種製造所
真綿加工 有限会社関根商店
全体統括 株式会社小倉商店
8月9日に産地の様子を見てきました。
蚕の飼育槽
この中に約3万頭の蚕が飼育されています。
蚕は一匹二匹でなく一頭二頭と数えます。
桑の葉
新鮮な葉を与えることが養蚕において一番苦労するところだそうです。桑の葉の採集と運搬は毎日の重労働です。
回転まぶし
この中で蚕は繭を作ります。
蚕は上の方に繭を作る性質があります。上の方のマスが埋まるとその重さで回転し、蚕がまんべんなく一つずつマスの中に繭を作る仕掛けです。
長い歴史を持つ結城紬を数多く見てきた中で、昭和の後半の一時期に特出した品質の製品があることに気付きました。真綿手紬糸を原料とする結城紬は、一見木綿と見間違うような素朴で温かな風合いが特色ですが、これらの製品は紬でありながら「普通の結城紬とはどこか違う」と思わせる絹の光沢と張りを持ち合わせています。
これらの製品は結城で生産された真綿を用い、また当時結城の1,2を争う名工がつくったものでしたが、ある一時期を過ぎるとこのような製品は生まれなくなったのです。特別な紬はなぜ生まれ、なぜ消えてしまったのでしょうか?
絹の原料の繭は目的に合わせて改良されながら今日を迎えましたが、特にストッキングなど洋装に向く品種が最優先で作られてきたようです。紬の品質の相違は原料の真綿の良否によって生ずるものと考えられますが、以前はいろいろな品種の繭があることも知らず、何が結城紬に向くかもわかっていなかったのです。
”幻の紬を再現したい”そんな中で試行錯誤を繰り返してたどり着いたのが朝・日×東・海です。昭和後期に開発されて生産性の向上に寄与した品種で、結城地方でも一時期に限ってこの品種の蚕を飼う養蚕農家が多かったことが分かりました。
朝・日×東・海品種を使った結城紬づくりがが始まると、真綿掛・糸つむぎ・織り・湯通しの各工程のつくり人から「真綿の引きが強い、糸が切れにくい」などの報告がされ、結城紬に適した繭であることが伺えました。そして、織りあがった反物は張りと光沢のある上質の紬でした。
結城紬は、天然の素材をすべて手作業で仕上げますから全く同じ製品は二つとありません。しかし、朝・日×東・海に辿り着いたことで幻の紬のような高い品質の紬をつくる糸口を見つけたのです。
私たちは、朝・日×東・海でつくる純国産結城紬を「風土31」と名付け、純国産絹マークを取得しました。31は、結城紬の技術が重要無形文化財の指定を受けた昭和31年を表しています。
→ ジャパン・シルクセンターの発行する「絹だより」に詳細な記事が掲載されています。
結城紬は繭の生産から機織りまで多くの工程を経てつくられます。各工程に携わった生産者の気持ちとともに、安心してお召しいただけますよう、「純国産結城紬 風土31」のすべての製品には生産履歴が明記されております。
「純国産結城紬 風土31」は、(財)大日本蚕糸会が発行する「純国産絹マーク」を取得しております。
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